2021.4.9
特集

【現役看護師 / 取材記事vol.1】新型コロナ現場の声

コロナウイルスによる感染症拡大により、私たちの生活は大きく変化致しました。中でも医療の現場では、現在も緊迫した状況が続いており、リアルタイムで病院全体の感染対策や組織構築などが行われています。

「夜勤帰りのタクシー乗車を拒否された。」
「家族が身の狭くなる思いをしている。」など、医療職に対して世間の目が厳しくなったこともあるかと思います。

今回MediLifeでは、現場で働く看護師の方々のリアルな話を伺い、精神面・経済面・私生活の3つの観点から生活の変化について伺っていきます。

他の看護師さんがどのような気持ちを抱きつつ仕事しているのか、他の病院の現状は一体どうなっているのかなど、参考にしていただけましたら幸いです。

今回の取材させて頂いた方は、りりぽさん になります。りりぽさんは現在臨床経験6年目で、普段は手術室にて看護師をされていますが、コロナウイルス流行を機に病棟への配属となりました。

医療系ライターけいた

本日はインタビューにご対応いただきありがとうございます。まず初めに、コロナによる精神的な変化をお聞きできればと思うのですが、いかがでしょうか?

りりぽ

こちらこそ、このような機会をいただきありがとうございます。精神的な変化というと、私の場合は普段手術室で看護師をしているため、病棟に借り出される形でコロナ患者の対応を行いました。  私が勤めている病院は、整形外科がメインですが、今回は近くの病院でコロナウイルスのクラスターが発生したことをきっかけに、私の病院でもコロナ患者の受け入れが始まりました。いつかは受け入れを開始するのだろうなと思っていたので、実際に聞いた時は不安の気持ちはとても大きかったですね。

医療系ライターけいた

そうだったのですね。今回のコロナ病棟へ借り出される際に、事前の確認などはありましたか?いきなり人事異動のような形でしょうか?

りりぽ

いえ、コロナ対応をする前に、アンケートのようなものを書かされました。そのアンケートの内容は「コロナ対応の病棟で働けるか、働けないか」という内容で、「働けない場合は理由を記載してください。」という感じでしたね。  私の働いている病院では、家庭を持っている方が多く、現在独身かどうか、持病を持っているかなどの項目もあり、コロナ対応で家族がいる方々に対して、病院経営陣から配慮されている印象を受けました。

医療系ライターけいた

アンケートでの意向調査があったのですね。

りりぽ

はい。私としては「手術室看護師だけど、何か助けになれるなら力になりたいな。」と考えていたこともあり、今は家庭も持っていないので、他の看護師よりは身動きが取りやすいなと思って「働ける。」に◯を付けましたね。ただ、普段は手術室の業務になるので、病棟の業務が全くわからず、備考欄に「病棟業務を教えてもらえれば」と記載して提出しました。

医療系ライターけいた

りりぽさんは普段手術室で働いていらっしゃるのですもんね。実際に病棟の対応になっていかがでしたか?

りりぽ

実際に病棟での対応に参加して、病院全体のバタバタ具合がすぐに伝わってきました。普段から病棟業務に携わったことのない私は、病棟での仕事マニュアルを読んでも理解することが難しい部分が多く、組織連携も上手くとれていない状況でしたね。先輩看護師さんや看護師長にアドバイスをもらうことも多くて、なかなか病棟業務で力になれない自分に嫌になることもありました。

医療系ライターけいた

そうだったのですね。確かに緊急的にコロナ患者を受け入れたわけですから、なかなか組織連携をとるのは難しい部分もありましたよね。大変な中での参加だったのですね。

りりぽ

はい。病棟業務を教えてもらう暇は本当になかったですね。でも今回の緊急的な動きの中で、マニュアルはもっとわかりやすく作成する必要があることや、カルテ入力なども簡単にできるような仕組みが必要だということが把握できてよかったのかなと思います。

医療系ライターけいた

なるほど。実際に今後別のようなケースで、再度組織がバタバタしないためには、今回の反省を活かすことが重要ですもんね。  実際にコロナの患者を対応して、やはり不安に思うことはありましたか?

りりぽ

患者対応に関しては不安が強かったですね。コロナ患者を対応するということは、常に濃厚接触者に当たると思うんです。なのでこちらの感染対策レベルも常に問われる。普段からの感染対策を徹底できているか否かが試される部分もあると思って、常に気を張って仕事してますね。毎回PCR検査をするたびに、今回は大丈夫かなと不安になることがあります。

医療系ライターけいた

確かにそうですね。普段から感染対策は気をつけているにしても、今回はさらに注意しないと行けず、より一層気を張らないといけないですもんね。  精神的な変化も大きかったと思いますが、経済的な面では変化ありましたでしょうか。

りりぽ

私自身この病院に去年の8月に転職したので、昨年と比較するなどはできませんが、前から職場で働いている看護師さんは、「ボーナスが減った。」と話していました。給料の減給はあまりなかったようです。

医療系ライターけいた

そうだったのですね。私生活の変化はいかがでしたか。

りりぽ

私生活でマスクが外せないのは当然で、コロナの患者さんを見ている以上、常に周りへの感染には気をつけて生活していますね。  そんな状況でもおしゃれなマスクをみて、マスクで楽しみを作ってる人もいることに気づいて幸せな気分になりました。私も楽しみながら生活したいなって思います。

医療系ライターけいた

マスクで楽しみを作るという発想は、なんだかユニークで素敵ですね。何か生活している中で、引け目を追うことなどはありませんでしたか?

りりぽ

私が看護師として何か被害を受けたことでいうと、SNS上でのコメントがありましたね。SNSに写真を載せたら「こんな時期に外出しているのはどうなの?」と書き込まれたことがありました。  もちろん外出時は感染対策はしっかり行っているんですが、SNSからは伝えることが難しいし、突然その言葉を言うのはちょっとひどいなと思いましたね。

医療系ライターけいた

そんなことがあったんですね。外出することが悪いわけではないと思うので、突然のSNSの書き込みは確かにショックを受けますね。

りりぽ

でも看護師だからと割引してもらったこともあります。日用品や化粧品を買うときにクーポンをもらえることがあって、看護師を応援してくれているんだなって思いました。些細なことかもしれないですけど、とても嬉しいですよね。

医療系ライターけいた

クーポンで医療職応援するのは素敵ですね。今看護師の方や医療従事者のみなさんが世界を支えていることは間違いがないので、そういった活動はもっと普及すると良いですね。  最後になりますが、このメディアをみている看護師さんへ何か応援メッセージなどいただけますでしょうか。

りりぽ

コロナが流行って終わりの見えない状況になってしまいましたが、患者さんからの「ありがとう」が直接聞けるのは看護師や医療従事者だけです。現場で働いている看護師さんは、患者さんにとって本当に必要な存在ですし、この経験が今後の看護師人生で大きな糧になることは間違いありません。 心も身体も忙しい状況で疲れることが多くなることもあると思いますが、いつか報われることが来ると信じて、一緒にがんばれればいいなと思います。

医療系ライターけいた

ありがとうございます。そうですよね、本当に看護師のみなさんが現場で支えてくれているからこそ、今こうして僕たちも安心して生活できています。本当にありがとうございます。  改めまして、本日はお時間いただき本当にありがとうございました。

まとめ

以上がインタビューの内容です。いかがでしたでしょうか?
この記事を読んだことによって、最前線で働く看護師のみなさんにとって、他の病院の現状を知るきっかけや、気持ちが少しでも軽くなりましたら大変嬉しく思います。
まずは健康を第一に、感染対策を徹底しつつ生活していきましょう。コロナウイルスの状況は永遠に続くわけではありません。いつか終息して元の生活に戻ります。
日頃から活躍している看護師のみなさんに感謝を申し上げつつ、明日からも未来に向けて1つ1つ取り組んでいいきましょう。

それではまた。

ライター

医療系ライターのけいたです。(Twitter:https://twitter.com/keita_lfu/)普段はwebクリエイターとしてweb関連のあらゆることを担当し活動しております。また、hospassというメディアを制作しており、医療職の多様性についてもお届けしております。

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