確定申告する義務がない人でも、確定申告をすることで、税金の還付を受けられることがあります。今回は、確定申告をするとお得になるケースについて詳しく解説します。確定申告の期限や申告方法も紹介するので、副業をしている看護師も副業をしていない看護師も、ぜひチェックしてみてください。
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得にかかる税金を計算し、税務署に申告することです。確定申告は、誰もがしなければならないというわけではありません。
病院やクリニックに勤めていれば、必要な書類を提出することで通常は事業所側で年末調整をしてくれます。年末調整とは、確定申告に代わって、事業所が所得税を計算してくれる仕組みです。給与がメインの収入である人は、年末調整だけで事足ります。
しかし、給与以外にも副業の収入がある場合、自分で確定申告をしなければなりません。確定申告では、給与収入と副業の収入を合算し、自分で所得税を計算します。
確定申告をする義務があるのは、次のような人です。
・不動産所得や事業所得がある人
・2カ所以上から給料を受け取っている人
・副業で年間20万円以上の所得がある人
・給与収入が2,000万円を超える人
確定申告をする必要がない人でも、確定申告をすることで、税金が還付されることがあります。確定申告をするとお得になるのは、次のような人です。
・住宅ローン控除を初めて適用する人
・年間の医療費が10万円を超えた人
・ふるさと納税で5ヵ所を超えて寄付した人
・株取引で譲渡損失が出た人
ローンを組んでマイホームを購入すると、10年間は住宅ローン控除を受けられます(令和元年10月から令和2年12月までの適用なら13年間)。住宅ローン控除では、年末のローン残高に1%をかけた金額が、所得税から控除されます。
給与所得者の場合、確定申告をするのは初年度だけでかまいません。翌年以降は、年末調整で書類を提出すれば、事業所側が住宅ローン控除を適用してくれます。ただし、初年度は確定申告が必須なので、注意しましょう。
初年度の確定申告では、請負契約書の写しや家屋の登記事項証明書などを添付する必要があります。直前になって慌てることがないよう、早めに準備しておくことが大切です。
看護師さんはこの分野について深く理解しているかもしれませんが、ここでおさらいしておきましょう。自分や家族の医療費が合計で10万円を超えた場合、200万円を上限として医療費控除を受けられます。医療費控除の対象になるのは、治療に直接かかる費用です。たとえば、保険診療の窓口負担分や、受診のための公共交通機関の交通費、薬局で購入した風邪薬代などが対象になります。
予防のための予防接種費用やうがい薬、美容目的の医療費などは対象外となるため、注意しましょう。
また、薬局でスイッチOTC医薬品を購入した場合、1年間で1万2,000円を超える部分については、セルフメディケーション税制の対象となります。スイッチOTC医薬品に該当するかどうかは、領収書に記載されています。
セルフメディケーション税制を適用するには、予防接種や健康診断など、健康のための一定の取り組みを行っている必要があります。また、医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用なので、どちらか一方しか適用できません。
ふるさと納税とは、地方自治体に寄付を行うことで、寄付した金額が所得税・住民税から控除される制度です。
寄付した地方自治体が5ヵ所以内であれば、ワンストップ税制の申請書を提出することで、確定申告をしなくても控除が受けられます。しかし、5ヵ所を超える地方自治体に寄付した場合は、確定申告をしなければ控除を適用できません。
株取引で譲渡損失が出た場合は、確定申告を行うことで、損失を翌年以降に繰り越すことができます。繰り越しは3年間認められており、翌年以降に利益が出た場合は、損失と利益を相殺できます。確定申告をしなければ譲渡損失は消えてしまうため、忘れず申告しましょう。
確定申告書の提出期限は、翌年の3月15日です。1ヵ月前から申告書の受付が始まるため、早めに申告書を作成し、申告・納付を行いましょう。
確定申告書は、税務署で無料で配布されている他、国税庁のホームページからもダウンロードできます。作成した確定申告書は、e-Tax(電子申告)もしくは郵送にて提出しましょう。e-Taxを利用するには、事前に手続きが必要なので、申告の受付開始前に手続きを終わらせておくと安心です。
国税庁のホームページには、申告書の作成方法などが丁寧に案内されています。また、わかりにくい場合は税務署に電話すれば詳しく教えてくれますので、該当する項目がある場合はきちんと確定申告をしましょう。