人生にはさまざまなライフイベントがあります。病院では出産や新生児、幼児に対してケアをしているナースの方でも、将来、結婚・出産を経験する人もいることでしょう。新しい命の誕生は自分だけではなく、周囲の人も幸せな気持ちにするものですが、子どもを育てるには養育費が必要です。子育てにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。出産から大学卒業までの22年あまりにかかる費用について考えてみます。
妊娠が分かり、幸せな気持ちになるのも束の間、妊娠から出産にかけて費用がかかることに気づくカップルもいるはずです。さらにはこれまでダブルインカムだった夫婦の場合、出産後は育児休業でしばらくは収入が減少しますから、子どもを出産して職場復帰までは夫の収入をメインにやりくりをしていかなければなりません。妊娠段階から費用がかかりますが、子どもを授かり、育てていくのは大変なことです。
子どもが大人になるまで必要になる費用は教育費だけでも1,000万円以上かかるとも言われており、習い事の有無や、学校の選び方によっては2,000万円必要になる場合もあるといいます。そのため、子育てにかかる費用を具体的に考え、予め備えておく必要があるのです。
実際に妊娠してから、大学を卒業するまでに大体いくら費用がかかるのかを確認してみましょう。
妊娠期には健診代がかかります。一般的に14回健診が行われますが、10万円から15万円ほどかかります。妊婦健康診断審査受診票によって負担額は5万円から10万円ほどに減りますが負担額が大きく減るとは言い難いです。
さらに、出産時には自然分娩で大体15万円から25万円、帝王切開では15万円から25万円(保険適用)、産後は1週間ほど入院することになりますが、1万円から3万円ほどベッド代や食事代などがかかります。さらに新生児管理保育料として1日1万円ほどかかりますので、1週間で退院するなら7万円かかることになります。出産費用は病院や個室・大部屋の別によっても異なりますが、ある程度まとまった金額がかかると考えてもよいでしょう。
妊娠中はお腹が大きくなるのでマタニティウェアや妊婦帯を身につけます。さらに生まれてくる子どものためにベビー服やチャイルドシート、哺乳瓶、おむつやミルク、おしりふきなどの消耗品、おむつ用のゴミ箱などを購入して、子どもの誕生を心待ちにするでしょう。抑えようと思えば抑えられる項目ですが、10万円ほどかけるのが一般的だと言われています。
そして、交通費、出産祝いのお見舞い返しなど細々した費用、子どものお食い初めや100日のお祝いなどの費用などをあわせると80万円以上かかるとも言われています。
また、幼稚園から大学まで公立にしようか私立にしようか悩む家庭もあるかもしれません。公立と私立では下記のようになります。
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 約69万円 | 約144万円 |
小学校 | 約192万円 | 約912万円 |
中学校 | 約141万円 | 約396万円 |
高校(全日制) | 約135万円 | 約312万円 |
合計 | 約537万円 | 約1,764万円 |
文部科学省「子どもの学習費調査」の結果について参照。習い事など課外活動を含めた金額
高校までの15年間を公立で過ごした人は537万円ほどかかりますが、すべて私立に通った人は1,764万円と約3倍以上の差があることが分かります。
大学費用は下記の通りです。
国公立 | 私立文系 | 私立理系 | |
入学費用 | 約62万円 | 約92万円 | 約87万円 |
授業費用(4年間) | 434万円 | 約645万円 | 約720万円 |
合計 | 約496万円 | 約737万円 | 約907万円 |
国民生活金融公庫「平成29年度教育費負担の実態調査」参照
医学部、歯学部は上記以外にも費用がかかりますし、自宅外通学であれば下宿費用などもかかります。幼稚園から大学までずっと国公立であれば、大体1,000万円ほどの教育費となりますが、幼稚園から私立に通い、大学が私立の理系だった場合にには約2,600万円以上の教育費がかかることが分かります。
子どもの教育費にはまとまった資金がかかることが分かりましたが、どのようにして備えるのがよいでしょうか。ぱっと思いつくのは預貯金だと考えられますが、現在の低金利下ではなかなか増えていきません。
そのため、数年以内に必要な資金は預貯金、それ以降に必要な資金は学資保険やジュニアNISAなどを活用してコツコツと積み立てていくのがよいでしょう。子どもの名義でジュニアNISAを活用し、両親がつみたてNISAでそれぞれ運用すれば、中長期的にも増えていく実感が得られるはずです。
リスクはあるものの、定期的に積み立てていくことで時間が味方をしてくれて思った以上に増えている場合もあります。毎月の収支や将来のイベントを踏まえたマネープランを夫婦でよく検討し、子どものために何ができるのかを決めましょう。
このように、子育てには大きなお金がかかることが分かりました。子どもが成長するのはあっという間です。子どもの教育資金などの費用を育むという意識を持ちましょう。中長期的に増やしていける安定した資産運用ができれば、子どもの将来の夢や目標を応援できるまとまった資金を用意できるはずです。