将来どのように働いていきたいか、今の仕事は自分に合っているのか。迷ったり考えたりすることは誰にでもあるでしょう。「手に職」仕事の代表格である看護師もそれは同じです。選択肢が豊富すぎて逆に悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。看護師のキャリアは大きく分けてタテ型とヨコ型、そしてパラレル型の3つがあります。それぞれ紹介するので今後のステップアップの参考にしてください。
まずは看護師としての専門性を高めていく「タテ型」のキャリアパスを紹介します。わかりやすい例として資格の取得を挙げます。
代表的な資格は「認定看護師」です。すでに取得している人や、同僚が持っているという人もいるかもしれません。公益社団法人日本看護学会が認定しており、取得にあたっては5年以上の実務経験と615時間以上の研修が必要です。
さらに専門性の高い資格に「専門看護師」があります。必要とされる実務経験の年数は5年であり認定看護師と同じですが、大学院で修士を取らなければなりません。がん看護や家族支援や精神看護など、13の専門分野があります。
資格の取得者数は2018年12月時点で、認定看護師は約2万人、専門看護師は約2,300人です。どちらも希少性の高い資格といえます。
看護師としてのスキルを磨いていく資格としては、他にも特定看護師・診療看護師などがあります。保健師や助産師など、看護師が受けられる国家資格を目指すのもよいでしょう。
参考までに、資格を取ると給料がどう変わるのかについてみてみましょう。日本看護協会の「看護職の賃金の実態」によると、資格手当がない病院は専門看護師が61.4%、認定看護師が54.8%。それぞれの病院で最も多く資格手当をもらっている人の平均は、専門看護師が1万832円、認定看護師が9,773円です。
給料アップのためだけに資格を取ろうとすると、現実とのギャップに戸惑うかもしれません。
病院に勤めることだけが看護師のキャリアではありません。経験と知識を活かして別の場所で活躍する道もあります。
保育所もそのひとつ。厚生労働省の指針によって、乳児を4人以上預かる保育園には、看護師または保健師、准看護師をおくことになっています。
保育園看護師は、園児が怪我をしたり熱を出したりしたときの対応や、保育の補助などを行います。夜勤や残業、土日の出勤などの労働条件も病院勤務の看護師とは違うことが多いので、そこを考慮して転職する人もいます。
一般企業も選択肢のひとつです。企業内看護師や産業看護師と呼ばれる看護師達は、職場の健康支援やメンタルヘルス対策などの仕事をします。
2015年から義務付けられたストレスチェックを行うには一定の資格が必要ですが、研修を受けた看護師もそのひとつです。メンタルヘルスはこれから注目される分野といえます。
人の健康に関わる看護師は、いわゆる「つぶしのきく」仕事です。少し違った分野に挑戦するヨコ型のキャリアの選択肢が多いのも魅力といえます。
最後に挙げるのは縦型でも横型でもなく、ふたつの仕事を両立する「パラレルキャリア」型です。いわゆる副業をイメージしてください。
例えばクラウドソーシングにライターとして登録し医療系の記事を書いたり、ブログを書いて広告収入をもらったり。さまざまな副業ノウハウの本が出されており、セミナーや勉強会なども開かれています。
ただし国公立病院に勤務する公務員看護師の場合は、注意が必要です。原則的に公務員は副業を禁止されているからです。
人によってはFXや不動産投資などの資産運用を副業の一種とする人もいますが、公務員の副業禁止規定には基本的に引っかかりません。親から相続した不動産や株式などを持っている人もいるからです。
ただし限度はあります。不動産投資の場合には人事院規則で「事業」とされる目安を定めています。建物が5棟以上、マンションの場合は10室以上、賃料収入が年間500万円以上の場合などは副業とされる可能性があります。
看護師、特に公務員にとって不動産賃貸経営という「もうひとつの仕事」もキャリアの選択肢となります。
看護師のキャリアに資産運用を挙げたのは意外だったかもしれません。しかしキャリアは十人十色。あなたに合った働き方、稼ぎ方を考えてみてください。