政府は、医療従事者に対して慰労金を給付することを発表しました。しかし、職場でまったく慰労金の話が出ないことで、不満を抱えている看護師も少なくありません。今回は、慰労金の対象者や給付額、申請の流れをわかりやすく解説します。
新型コロナウイルスの登場から、医療機関で働く看護師には大きな負担がのしかかっています。新型コロナウイルスの患者と濃厚接触する可能性もあるなか、多くの看護師は強い使命感や責任感で仕事を続けています。
こういった事情を考慮して、厚生労働省は、医療機関のスタッフに対して慰労金を支給することを発表しました。
しかし、SNSの看護師アカウントや投稿に寄せられたコメントをみると、8月上旬になっても慰労金の話が職場で出ないことに、不安を募らせている人もたくさん見受けられます。
今回は、慰労金の対象者や給付額、申請の流れをくわしく解説します。制度について理解を深め、不安な場合は職場に確認してみましょう。
まず、慰労金の給付額について解説します。
慰労金の対象者は、都道府県で新型コロナウイルス患者の1例目発生日または受入日から6月30日までの間に、10日以上勤務した医療従事者・職員です。
給付対象は、患者と接する医療従事者・職員です。患者とは、新型コロナウイルスに感染した患者に限定されません。
看護師はもちろんのこと、事務員も給付対象となります。基本的に、病棟・外来で働く看護師、受付・会計を担う事務員は該当します。
また、退職、転職したケースでも、慰労金を受け取れます。その場合、該当期間に勤めていた勤務先を通じて手続きをしてください。
判定は医療機関単位で行われるため、異なる病棟で勤務していたとしても、患者と接する機会があれば慰労金を受け取れます。
10日間という要件に関しては、勤務時間は問わず、勤務日数をカウントします。当直勤務など日をまたぐ場合は、2日と数えます。
ただし、慰労金20万円の要件を満たす医療機関に勤めていても、初めて診療棟を行った日以降勤務していない場合、慰労金の金額は10万円となります。
また、対象期間中にテレワークをしていたり、医療を提供する施設と区分された法人の本部棟で勤務していたりした場合は、該当しないと想定されます。ただし、病院の敷地内で患者と接したり会話したり、同じ空間で作業したりといった状況があれば、給付対象に含まれます。
慰労金を受給する流れは、都道府県によって異なります。そのため、くわしくは都道府県のホームページを確認しましょう。なお、厚生労働省が示す一般的な流れは下記の通りです。
慰労金は非課税なので、給与のように所得税や住民税を差し引かれることはありません。給付額を満額受け取れます。
まずは医療機関のある都道府県のホームページで、申請受付期間を確認してみてください。そのうえで、職場に「委任状の配布はいつ頃でしょうか」と確認しましょう。
スタッフの人数によっては膨大な事務作業が必要であり、複数回に分けて申請する医療機関もあるようです。特に大きな病院ほど、事務作業に追われ、対応が遅れてしまうこともあるでしょう。個人での申請は認められておらず、あくまで医療機関単位での申請が必要です。
慰労金の支給が遅れることで、不安や不満を覚えることもあるとは思いますが、病院側の負担にも配慮しつつ確認することが大切です。