どのようなキャリアを築くかによって将来の働き方や収入は大きく変わります。世の中の動きを俯瞰的にとらえ、キャリアアップに活かしていく視点を持ちましょう。今回は、2025年問題によって医療業界や看護師の働き方がどのように変わるかを解説していきます。
2025年には、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になることで「4人に1人が後期高齢者の超高齢化社会が訪れる」といわれています。2025年問題とは、人口の年齢構成が大きく変化する中で社会に起こることが想定されるさまざまな問題を総称した呼び方です。医療・福祉はもちろんのこと雇用や不動産市場、社会構造にもさまざまな影響があるといわれています。
よく議題にされるのが社会保障費の増大です。今でも高齢者を支えるため、若者1人あたりの負担が大きくなっていることが問題視されています。2025年を迎えるとこの構図はより加速することになるでしょう。
医療分野における2025年問題について解説していきます。まず急性期医療から慢性期医療へと重点が移り変わっていくでしょう。また介護分野との連携をはかることが今まで以上に重要になってきます。2025年問題では、人口の年齢構成が変わることで労働力不足になることが指摘されています。このことは、医療現場も例外ではありません。
最近は、働き方改革によって医師や看護師の働き方も見直されつつあります。この流れで2025年を迎えたとき「医療現場が正常に機能するのか」「医師や看護師の働き方は守られるのか」など疑問が残る人も多いのではないでしょうか。最近では、「医療×IT」のメディテック分野でITによって現場の効率化を実現する仕組みもたくさん考案されています。
このような最新テクノロジーを効果的に取り入れながら2025年に向けて備えていくことが必要です。
医療現場で求められるスキルや資格にも変化が訪れるでしょう。具体的には、認定看護師や専門看護師の需要がますます高まると予想されています。
認定看護師は、特定の分野に関して深い知識と看護技術を持つ看護師を育成する目的で始まりました。認定看護師になるためには、看護師としての5年以上の実践経験が必要です。また615時間以上の認定看護師教育を納め認定審査に合格しなければなりません。
2018年12月時点の認定看護師の人数は1万9,894人です。21の認定看護分野には、認知症看護・感染管理・訪問看護・糖尿病看護・摂食嚥下障害看護・慢性心不全看護などがあります。この中でも特に認知症看護のニーズは今後大きく高まるでしょう。今後のキャリアを見据えるなら、高齢者の看護にかかわる分野を選ぶことも選択肢の一つです。
専門看護師になるためには、看護師として5年以上の実践経験が必要です。また大学院で修士課程を修了して単位取得し、専門看護認定審査に合格しなければなりません。2018年12月時点での専門看護師の人数は2,279人です。13の専門看護分野には、在宅看護・がん看護・慢性疾患看護・精神看護・老人看護・家族支援などがあります。
2025年問題に備えるなら、在宅看護や慢性疾患看護、家族支援などが特に重要になるでしょう。専門看護師は、患者や家族に起きている問題を総合的にとらえて判断する能力、広い視野で施設全体や地域看護の質の向上に努めることが求められています。後期高齢者が増えたとき、おのずと起こるのは介護の問題です。
「家族でどこまで介護を担うのか」「介護の担い手がいない場合はどうするのか」など一人ひとりの状況が異なる中で、医療者として意見を求められることは増えていくでしょう。専門看護師は、そんな時代に患者さんや家族から求められる存在です。看護師の活躍の現場も病院だけでなく、訪問看護ステーションや介護保険施設などますます広がっていくと想定されます。
新しい医療のあり方を柔軟に受け止め、診療報酬改定の動きも注視しながら働き方や勤務先を変えることを検討するのも一つです。キャリアアップで大切なのは、自分なりに世の中を見つめ一歩先をいく行動を起こすこと。2025年になってから動き始めるのではなく、今のうちから未来を見据えて資格取得やスキルアップをはかることが大切です。