2020年度の診療報酬改定で看護師の働き方にも変化が訪れるといわれています。ようやく医療の現場にも「働き方改革」の波が届いたといえるでしょう。この記事では、診療報酬改定のうち看護師の働き方に関する部分をピックアップして、分かりやすく解説します。
看護師や医師をはじめとした医療従事者の過労については、かねてより問題視されてきました。これを受け2020年度の診療報酬改定では「働き方改革の推進」が重点課題として取り上げられています。診療報酬改定のうち看護師の働き方に影響を与えるポイントをそれぞれ確認していきましょう。
総合入院体制加算を算定するには、以下の5項目のうち2項目以上を満たすことが必要でした。
しかし2020年度の診療報酬改定によって新たに以下の2項目が追加されています。
これにより、7項目(既存の5項目と追加の2項目)のうち3項目以上を満たした場合に総合入院体制加算を算定できるようになりました。特定行為研修修了者である看護師は、医師の手順書があれば指定された症状の範囲内で手順書に定められた内容を医師に代わって実施することが認められています。特定行為にかかる看護師の研修制度は、医師の負担軽減を目的として2015年10月に創設されました。
今後チーム医療を推進する観点からみても、ますます看護師の担う役割が重要になっていくと予想されます。看護師としてのスキルアップを考えるなら、特定行為研修を受けることも選択肢の一つとして検討してみてください。
夜間看護の負担軽減のため、夜間看護体制加算や看護職員夜間配置加算を算定する項目として以下の項目が追加されました。
夜間看護体制加算や看護職員夜間配置加算を算定するには、全11項目中、2~4項目以上を満たせばいいとされています。そのため必ずしも項目にあがっているような取り組みが職場で始まるとは限りません。しかし今後の診療報酬改定も見据えると、病院側としても看護師の夜間看護の業務負担軽減に乗り出さざるを得ないでしょう。
今回の診療報酬改定では、医師の負担軽減のため看護師に求められる役割がますます多様化する方向性が示されています。看護師の夜勤の負担軽減に向けても、今後さまざまな取り組みが実施されることでしょう。
これまでの医療現場では「個々人の責任感や倫理観に頼った運営がなされてきた」という実態がありました。しかし「働き方改革関連法」が随時施行されるにともない、看護師の働き方も少しずつ見直されていくことが予想されます。
「働き方改革関連法」が施行されることで時間外労働には罰則付き上限規制が導入されたり、年次有給休暇の年5日の取得が義務付けられたりします。実際に「時間外労働に関する36協定を締結」「研修時間にも時間外勤務手当を支給」などの取り組みをはじめる病院も増えてきました。
日本看護協会は、看護師の働き方改革の目標を「働き続けられる仕組み」としており「看護職が生涯にわたって安心して働き続けられる環境づくりを構築し推進する」ことを掲げています。看護師はやりがいの多い仕事である一方、生活リズムが不規則になったり研修や残業が多かったりとハードな仕事でもありました。
看護師が健康に長く働き続けられるよう働く環境を改善することが、医療業界全体に求められています。